◆~ヘイローフジ~感情は高くつく 京阪杯


◆『感情は高くつく』◆






良くも悪くも、心を乱されるのは、いつも他人によってだ。

喜びも悲しみも、他人と共にある。


特に「腹が立つ」「イライラさせられる」

という感情は生まれることが多い。


しかしながら怒りの感情は

即、言葉にはしないほうがよい。

怒るより怒らない方が、長い目で見ればメリット多し。








11R 第54回 京阪杯(G3)




1着 プレミアムボックス
2着 レディルージュ(3歳牝馬)
3着 ヘイローフジ(6歳牝馬)







   ~レース後 居酒屋 笑笑にて~




レディルージュ
「じゃあ先輩、お疲れさまでした~かんぱーい」


ヘイローフジ
「お疲れー。それにしても私たち二人のワイドが9420円よ?
 ナメんなって感じ」


レディルージュ
「先輩にいたっては16番人気っすからね」


ヘイローフジ
「あんたケンカ売ってんの?ひとこと多いよ!
 それにしても新聞記者の取材はウオッカばかりよ?
 なに?この待遇の違いは? ムカつくわー」


レディルージュ
「そうっすよねー。ウオッカより先輩の方が
 キレイ・・とは言わないけど、強い・・とも言えないけど
 ・・なんつーかそのーあのー
 ・・・お、おもむきがありますよね!」


ヘイローフジ
「あんたマジ喧嘩売ってんの?罰としてここはおごれよ。
 いやしかしウオッカ・・あの子いっこ下のくせに・・・。
 しかも噂によると、ひそかに私が狙ってたオウケンくんに
 告られて、断わりやがったらしいのよ・・怒」


レディルージュ
「先輩の怖さを教えてやった方がいいっすね」


ヘイローフジ
「そうね・・。ルージュ、あんた明日ウオッカ呼び出してこいよ」






   ~人通りの少ない駐車場~



レディルージュ
「フジ先輩、連れてきましたっす」


ヘイローフジ
「来たか。ウオッカ、なんで呼び出されたかわかってんな?」


ウオッカ
「あ、フジさん、こんにちは。京阪杯はすごい末脚でした」


ヘイローフジ
「そんなこと聞いてねえんだよ!
 まずおまえ謝れよ!」


ウオッカ
「・・・・フジさんに謝るようなことはした覚えはないかと」


ヘイローフジ
「うるせーよ!おまえのせいでこっちは初めて重賞で好走したのに
 だれも注目してくれなかったんだよ!
 おまえにこの気持ちがわかんのか?あー?」


ウオッカ
「そうだったんですか。それは私のせいですね。
 ごめんなさい。フジさん」


ヘイローフジ
「ちゃんと頭下げてあやまんだよ!」


ウオッカ
「すみませんでした」






オウケンブルースリ
「ん?なんだあれ。・・・ウ、ウオッカさん??
 おーーい!みなさんなにしてんのー!」


ヘイローフジ
「オ、オウケンくん・・・ドキドキ
 今ウオッカちゃんと仲良く遊んでたのー。うふ」


オウケンブルースリ
「そ、そうっすか。なんか空気が重かったんで気になって」


レディルージュ
「いえ違います。フジさんがウオッカさんにヤキ入れるって言って
 呼び出したんです」


オウケンブルースリ
「えぇ~??」


レディルージュ
「ウオッカのせいでフジさんに取材がこないって。謝れって」


オウケンブルースリ
「・・・フジさん、それはおかどちがいですよ。
 フジ先輩には幻滅しました。ウオッカさん、ルージュちゃん、行きましょう 怒」


ヘイローフジ
「そ、そんな・・・泣」







   ~人通りの少ない橋の下~





カワカミプリンセスほか牝馬の集団

「フジ、あんたにひどい扱いを受けたって言う子たちが
 私のとこに相談にきてんだよ。
 アンタ一体どういうつもり?」


ヘイローフジ
「わ、私は何もしてないよ。。その子らが
 私をはめようとしてるんだよ!わかるだろ?カワカミ。。。
 同期だろ?」


レディルージュ
「カワカミさん!ボッコボコにしてください!」


ヘイローフジ
「ルージュ!おまえ・・・どうして・・・」


  一同ボッコボコ コール


カワカミプリンセス
「こうなってしまったらもう引き下がれないんだよ。
 フジ、あんたは同期だけど・・・しかたがないね」


ヘイローフジ
「そ、そんな・・・カワカミ・・助けてくれよ・・・泣」




ウオッカ
「カワカミさん!」


カワカミプリンセス
「ウオッカ・・・おまえもこいつに嫌がらせされたのか?」


ウオッカ
「いえいえ違うんです。私、フジさんとは仲のいい友達だから。
 今日は許して~って感じです~。ね?カワカミさん? えへ」


カワカミプリンセス
「今さら引けねえんだよ。おまえにだってわかるだろ?
 これだけの直訴があるんだよ!
 ウオッカ、おまえは帰れよ!」


ウオッカ
「・・・・・カワカミさん、ここだけは私の顔、立ててもらえませんか。
 今日のところはお引き取りください。
 カワカミさんとぶつかるのは、私も避けたいんだ」


カワカミプリンセス
「・・・・ふぅ。わかったよ。ウオッカ。
 でもおまえ、そんなやつ助けても、なんの意味もないよ。
 じゃあな。ウオッカ」







ヘイローフジ
「ウオッカごめん。私あんなこと言ったのに・・」


ウオッカ
「・・・いいんです」


ヘイローフジ
「私、オウケンくんにも嫌われて、レディルージュにも裏切られ
 もう・・私には何もないよ・・・涙」


ウオッカ
「フジさんは、自分の感情に素直すぎただけです。
 まっすぐすぎただけ。
 感情は時に高くつきます。
 でもフジさんは今、そのことに気付いた。
 だからフジさんの人生は、今このときから始まる。
 ・・・みんなに謝りにいこう!私もいっしょにいくから!ね?」









         完

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