◆目に見えるものだけが真実ではない オウケンブルースリ ジャパンカップダート


◆目に見えるものだけが真実ではない



ジャパンカップダート

1着トランセンド
2着グロリアスノア
3着アドマイヤスバル



【前回までのあらすじ】
借金の返済に困ったオウケンは、ノアからカツアゲして
闇金ウマジマに返済する。トラオとノアの怒りは収まらないが
実はオウケンの借金は、
兄を亡くしたレーヴディソールのためのものだった



≪焼き鳥シゲにて≫



トランセンド
「一応、土下座させたとはいえ、オウケンさんの恐喝は
心に遺恨が残っちまうよな」


グロリアスノア
「・・・・」



トランセンド
「ヒドイよなあ、ホント」


グロリアスノア
「・・・・」



トランセンド
「どーせあの人、パチンコかなんかで負けた借金の返済とかだろ?」


グロリアスノア
「・・・・」



トランセンド
「考えられないぜ! 怒
今日は飲もうぜ!
なあ、ノア!」


グロリアスノア
「・・・ひどいよ・・・オウケンさん・・・ 泣」



トランセンド
「うんうん!
もう忘れよう!
あんな奴、来世ではロクなもんに生まれ変わらんぜ!」


グロリアスノア
「・・・そうだよね・・」



トランセンド
「ああ!
ミミズかなんかだろ
ププッ」


グロリアスノア
「・・・フフッ」



焼き鳥屋店主シゲ
「・・・・
・・・・
・・・アンタらは、目に見えるものしか信じられねえのかい?」


トランセンド
「え?」


グロリアスノア
「?」



焼き鳥屋店主シゲ
「口挟んで悪いな」


トランセンド
「いえ、いいんですけど・・・。
それより、目に見えるもの・・・?ってなんスか?」



焼き鳥屋店主シゲ
「真理というのは、目に見えるものの逆にあることが多いってことさ」


トランセンド
「は?」


グロリアスノア
「?」



焼き鳥屋店主シゲ
「行間を読む、って感じかな」


トランセンド
「ちょ、ちょっとシゲさん! 何言ってんだかわからんすよ!」



焼き鳥屋店主シゲ
「・・・明日の阪神の2歳女王決定戦に、芦毛の女の子が出走する」


トランセンド
「ああ。
知ってますよ。
レーヴディソールちゃんでしょ?
現在、ダントツの1番人気っすね」



焼き鳥屋店主シゲ
「・・・・」


トランセンド
「レーヴちゃんが何か?」



焼き鳥屋店主シゲ
「その子の兄貴が、先月亡くなったのは知ってるかい?」


トランセンド
「はいはい。
レーヴドリアン君でしょ?
若いのに、惜しい馬を亡くしましたよね・・・」


焼き鳥屋店主シゲ
「・・・・」



トランセンド
「それがオウケンさんの話と、何の関係が・・・
・・・・
・・・・
・・・ま、まさか・・・」


焼き鳥屋店主シゲ
「・・・オウケンさんは、ふさぎこむ芦毛の女の子に
ここで焼き鳥を食べさせてやってたよ・・・」



トランセンド
「そ、そんな・・・」


グロリアスノア
「・・・・」



焼き鳥屋店主シゲ
「・・・言うなって言われてっから、オレが言ったって言うなよ」


トランセンド
「『言う』が多いっすね 汗」



グロリアスノア
「・・・ウソだ・・・
そんなことが・・・」


焼き鳥屋店主シゲ
「・・・真実は目に見えるものと反対だ。
人の良さそうなタイプほど、腹黒かったりするよな」


トランセンド
「・・・・」



グロリアスノア
「トラオくん・・・」


トランセンド
「ん?」



グロリアスノア
「・・・オ、オウケンさんに・・・」


トランセンド
「・・・・」



グロリアスノア
「今度はボクが謝りに行ってもいいかな・・・」


トランセンド
「・・・フッ。
今度はオレたちが土下座だな 苦笑」



グロリアスノア
「うん 苦笑」


焼き鳥屋店主シゲ
「フッ」



≪そのころオウケンくん≫



オウケンブルースリ
「ふむ・・・
ディソールちゃんの単勝は現在1倍台か・・・
ここに突っ込むしかないな。
しかし金がない・・・
・・・・
・・・・
ん?
こんなところにレッドのサイフが・・・
アイツいくら持ってんだ?
・・・・
・・・おおっ!!
こんなに入ってる!!
レッドよ!
明日の夕方には、利子つけて返すからなっ!!
軍資金、ゲッツ!!」



– つづく –

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