阪神JF2016~ リスグラシュー『背伸びして自分以上の評価を得れば不幸になる』
◆阪神ジュベナイルフィリーズ2016
【リスグラシュー】
○Lys Gracieux
○牝2
○父 ハーツクライ
○馬名の由来⇒ 優美な百合
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◆背伸びして自分以上の評価を得れば不幸になる
≪焼き鳥シゲにて≫
オウケンブルースリ
「今週は、2歳の女の子チャンピオン決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズだね。シゲさん」
焼き鳥屋 店主シゲ
「そうですねえ」
オウケンブルースリ
「今週の注目は、なんと言っても、世界の怪物フランケル産駒、ソウルスターリングだな ブツブツ」
焼き鳥屋 店主シゲ
「豚しゃぶおまち」
オウケンブルースリ
「鞍上は、今年の勝率・連対率・複勝率、すべて1位のルメール。やっぱ軸はソウルスターリングか。相手は・・」
ガラガラッ
焼き鳥屋 店主シゲ
「へい!らっしゃい!」
リスグラシュー
「・・・ちょっと待つでシュー!」
オウケンブルースリ
「ん?」
リスグラシュー
「2歳女王になるのは、あたちでシュー」
オウケンブルースリ
「だ、誰だ? 汗」
リスグラシュー
「My name is Lys Gracieux・・・でシュ」
オウケンブルースリ
「なんで英語よ 汗」
リスグラシュー
「最近の子供は、幼児教育で小さい頃から英会話を習うんでシュー」
オウケンブルースリ
「そ、そうか 汗 でも名前はフランス語なんだな 汗」
焼き鳥屋 店主シゲ
「お嬢ちゃん。なにか食べるかい?」
リスグラシュー
「うんとねー。・・・じゃあ、シュークリームとシューマイをくだちゃい」
焼き鳥屋 店主シゲ
「あいよ」
オウケンブルースリ
「シューって言いたいだけだろ 汗」
リスグラシュー
「あと、カシシュオレンジも」
オウケンブルースリ
「ガキが酒を飲むな 汗」
リスグラシュー
「梅シューでも可」
オウケンブルースリ
「不可な 汗」
リスグラシュー
「シュパークリングワインなら、尚可」
オウケンブルースリ
「やかましいわ 汗」
リスグラシュー
「・・ねえ、おじちゃん。さっき、フランケル産駒の話、してたよね」
オウケンブルースリ
「だ、誰がおじちゃんだっ! 汗」
リスグラシュー
「現在、日本でフランケル産駒で活躍しているのは2頭だけ。今週のソウルスターリングとミスエルテ(来週の朝日FS予定)。その他のフランケル産駒は、過剰人気で惨敗してるでシュー」
オウケンブルースリ
「ほう」
リスグラシュー
「そう考えると、フランケルがサンデーサイレンスを超えるというのは、ちょっと考えにくいかなと思うわけでシュー」
オウケンブルースリ
「ガ、ガキのくせに思慮深いな 汗」
リスグラシュー
「ま。あたちがサンデーサイレンス系だから、希望的認知バイアスがかかってるのかもしれないでシュね」
オウケンブルースリ
「ガ、ガキのくせに客観的だ 汗」
リスグラシュー
「人間は放っておくと、自己中心的で主観的な視野になりがちでシュから、常に、自分を外側から見る習慣をつけたいものでシュー」
オウケンブルースリ
「お、おう 汗」
リスグラシュー
「あ、シュゲさん、山わさび納豆巻きをひとちゅ」
焼き鳥屋 店主シゲ
「あいよ」
オウケンブルースリ
「こ、子供らしからぬ嗜好だ 汗」
リスグラシュー
「なんかさー。お友達と遊んでてもさー。周りの子たちがガキばっかで、つまんないでシュー」
オウケンブルースリ
「ふーん」
リスグラシュー
「テレビもさー。お友達はガキくさいアニメとか見てるけど、あたちは、テレ東のワールドビジネスサテラ●トしか見ないでシュー」
オウケンブルースリ
「し、渋いな 汗」
リスグラシュー
「ねえ、シュゲさん。こんなあたち。将来ものすごくいい女になると思うでシュー? 喜」
焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・」
リスグラシュー
「・・・・♪」
焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・子供は子供らしくあればいい」
リスグラシュー
「え?」
焼き鳥屋 店主シゲ
「・・素の自分以上のものを演出すれば、本来の自分以上の評価を得ることができる。それは気分のいいものだ」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「だが、背伸びして自分以上の自分を作っても、あとから苦しくなるのは明白だ」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「大人でも、背伸びして自らの首をしめている人々はたくさんいる。見栄や自己顕示欲の奴隷状態になっている者もいる」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「他者からの評価というのは、脳内麻薬直結だからな。『評価される⇒嬉しい』を、繰り返せば、それは悪しき習慣となる。背伸びが止められなくなる」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「だから、子供のうちから自分を偽る習慣をつけてしまうと、大人になるほどに、人生は苦しくなる」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「そしてそのうち、パートナーや仕事を選ぶときでも、背伸びして、自分以上のものを手に入れたいと思うようになる」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「恋愛でも仕事でも、自分を偽らないと維持できないような関係は、多大なストレスとなり、継続を困難なものとするだろう」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「それにな。『背伸びした自分』は、どこか無理をしているので、周囲にも魅力的に映らねえもんだ。時間が経つほどにメッキは剥がれていく」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「シューちゃんな」
リスグラシュー
「・・はい」
焼き鳥屋 店主シゲ
「アンタが今、自分のやるべき行動を積み重ねているなら、背伸びなんかしなくていい」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「これは努力の否定ではない。自分を大切にするためだ」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「結局よ、力を抜いた素の自分が、一番輝いて見えるものなのかもしれねえな」
リスグラシュー
「・・・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「な。」
リスグラシュー
「・・はい・・ 泣」
焼き鳥屋 店主シゲ
「フッ。すまねえ。偉そうに言っちまって」
リスグラシュー
「いえ・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・」
リスグラシュー
「心に響きまシュた・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「そうかい」
リスグラシュー
「・・あたちは、子供のくせに演技して、周囲をコントロールした気になって、図に乗っていたのかもしれないでシュ・・」
焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・」
リスグラシュー
「ありがとうシュゲさん。心がスッキリしました。これからは、子供らしく。あたちらしく。自分に嘘をつかずに自然体でがんばっていきたいと思いまシュ!」
焼き鳥屋 店主シゲ
「ああ。がんばんなせえ」
リスグラシュー
「はい!」
オウケンブルースリ
「はっはっは。一件落着だな。まあよ、見栄を張って、自分を大きく見せようとしても、背伸びし続けることに、いつか疲れてしまうのかもしれないな」
リスグラシュー
「・・そうでシュね。気をつけまシュ」
オウケンブルースリ
「じゃあ俺は帰るぜ。レース頑張れよ」
カタン
リスグラシュー
「ん?何か落としまシュたよ、オウケンさん。・・おくすり?」
オウケンブルースリ
「ああ。拾ってもらっちゃってスマンな。・・はうっ!!汗汗」
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リスグラシュー
「・・・・?」
焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・汗」
オウケンブルースリ
「ち、違うんだ!汗 こ、これには深いワケがっ! 汗汗」
リスグラシュー
「・・シュゲさん。これなあにー?」
焼き鳥屋 店主シゲ
「知らなくていいぜ 汗」
オウケンブルースリ
「ち、違うんだぁぁーー!!汗汗」
- つづく –
※この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。