エプソムカップ2016~ ルージュバック『頼りがいのある仲間や友に囲まれているうちは、人生は変わらない』


◆エプソムカップ2016


【ルージュバック】

○Rouge Buck
○牝4
○父マンハッタンカフェ
○馬名の由来⇒ ブランデーをジンジャーエールで割ったカクテル

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◆頼りがいのある仲間や友に囲まれているうちは、人生は変わらない



≪焼き鳥シゲにて≫



オウケンブルースリ
「先週は、すぐ帰っちゃってごめんね。シゲさん」


焼き鳥屋 店主シゲ
「・・もういいのかい?」



オウケンブルースリ
「・・うん。オレがいつものように、しゃべ馬を盛り上げていく方が、アイツも…」


焼き鳥屋 店主シゲ
「そうかい」



オウケンブルースリ
「それに今週のエプソムカップには、アイツと同じ、父マンハッタンカフェの牝馬が出てくるし」


焼き鳥屋 店主シゲ
「そうですねえ」



オウケンブルースリ
「じゃあまずは、景気づけにビール!」


焼き鳥屋 店主シゲ
「あいよ」



  ガラガラッ



焼き鳥屋 店主シゲ
「へい!らっしゃい!」


ルージュバック
「はぁ~… 落」



オウケンブルースリ
「噂をすれば…」


ルージュバック
「あー、憂鬱だわ…。シゲさん、私にもルービーを」


焼き鳥屋 店主シゲ
「あいよ」


オウケンブルースリ
「ビールな 汗」



焼き鳥屋 店主シゲ
「ビールおまち」


ルージュバック
「ありがとうございまーす。・・グビグビグビ・・・。プハァー! 完飲」


オウケンブルースリ
「や、やるな。そのスピード、只者ではないぞ 汗」



ルージュバック
「もー!!怒」


オウケンブルースリ
「な、なによ 汗」



ルージュバック
「ビール飲むスピードが速くてもしょうがないのよ! 怒」


オウケンブルースリ
「は? 汗」



ルージュバック
「ターフを駆け抜けるスピードが速くなければさあ! 怒」


オウケンブルースリ
「そ、そうだな 汗」



ルージュバック
「シゲちゃん!ビールおかわりね! 怒」


焼き鳥屋 店主シゲ
「あいよ 汗」


オウケンブルースリ
「シゲちゃんて 汗」



ルージュバック
「『怪物ルージュバック』は、いったいどこ行っちゃったのよ!ええっ!? 怒」


オウケンブルースリ
「し、知らんけど 汗」



ルージュバック
「・・『はっは。カワイイ牝馬だから、怪物って呼ばないでやってくれw』・・なーんて、若い頃、陣営が余裕こいてたら、今じゃ、誰も怪物って呼んでくれねえしっ! 怒」


オウケンブルースリ
「・・・・汗」



ルージュバック
「うおおー!!ワシァ、いつになったら勝てるんじゃぁぁーー!!怒酔」


オウケンブルースリ
「の、飲みすぎだって 汗」



ルージュバック
「くそったれがぁぁーー!!怒・・グビグビ・・。プハァー! 完飲2」


オウケンブルースリ
「う、うむ。ビール一気飲み対決だったら、女王だな 汗」



ルージュバック
「中山牝馬ステークスは、56キロで言い訳できた!でも、前走のヴィクトリアマイルは、同斤の牝馬同士だったのに、5着とは何事じゃぁぁーー!!怒酔」


オウケンブルースリ
「マ、マイル戦は、ニガテってことで、言い訳できるぞ 汗」



ルージュバック
「ぬ?」


オウケンブルースリ
「ほら、今週のエプソムカップは、お前の得意な、1800mだろ?」


ルージュバック
「ほほう」


オウケンブルースリ
「いや、ほほう、じゃなくて 汗」



ルージュバック
「たまにはいいこと言うな~、オウケンよ~。お前にしては~ 酔」


オウケンブルースリ
「テ、テメー何様のつもりだぁ!コラァー!グリグリ 頭押」



ルージュバック
「キャー!痛いー!グリグリせんといてー!泣 痛いからー! 泣」


オウケンブルースリ
「・・・わかった。グリグリはやめよう」


ルージュバック
「うんうん! 汗」



オウケンブルースリ
「・・・モミモミ 胸」



   バキッ! 拳



オウケンブルースリ
「ぐはぁぁーー!!泣」


ルージュバック
「このドスケベ野郎ー!なに人のチチ揉みくさってんだぁ!ゴルァァーー!!ブンブン 拳」



オウケンブルースリ
「あ、危ないっ 汗 パンチを振り回すなっ 汗」


ルージュバック
「アタシの母ちゃんは、ジンジャーパンチっていうんだよぉー!ブンブン 拳」


オウケンブルースリ
「わか、わかったから!汗 落ち着け! 汗」



ルージュバック
「・・・・」


オウケンブルースリ
「・・・・ 汗」



ルージュバック
「・・はぁー・・ 落」


オウケンブルースリ
「ん?」



ルージュバック
「・・・なんでこんなことになっちゃったんだろう・・・グビグビ 飲」


オウケンブルースリ
「まあよ、勝負事は相手がいる事だからよ」



ルージュバック
「・・なんとかさぁ~、復活したいのよ~、アタシもさ~ 酔」


オウケンブルースリ
「まあなあ」



ルージュバック
「でも、エプソムカップ勝ったくらいで、『怪物復活!!叫』・・なんて絶叫で実況されても、こっ恥ずかしいけどね~ 酔」


オウケンブルースリ
「た、たしかに 汗」



ルージュバック
「そろそろさ、調教師の大竹先生も、いろいろ考えて、何とかしてくれるに違いないっ」


オウケンブルースリ
「うん」



ルージュバック
「母ちゃんの、ジンジャーパンチも応援してくれてるしっ」


オウケンブルースリ
「うん」



ルージュバック
「厩舎の仲間たちも、頑張れって、いつも励ましてくれるしっ」


オウケンブルースリ
「いい仲間だな」



ルージュバック
「そう。みんな頼りがいがあるの。みんなが支えてくれるから、私も安心して戦えるのかもっ」


オウケンブルースリ
「うん」



ルージュバック
「だから頑張らなきゃねっ」


オウケンブルースリ
「だな」



ルージュバック
「ねえねえ~、シゲちゃんも~、そう思うでしょ~? 酔」


焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・」


ルージュバック
「・・・グビグビ 飲」



焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・ジンジャーパンチさんな」


ルージュバック
「はい」


オウケンブルースリ
「それは母ちゃんの方だろ 汗 お前も返事すんな 汗」



焼き鳥屋 店主シゲ
「オレの意見を言うならな・・」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・頼りがいのある仲間や友に囲まれているうちは、人生は変わらねぇ」


ルージュバック
「え・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「たしかに、すでにある程度、今の人生に満足しているなら、仲間や友達を大切にすることに、異を唱えるつもりはねえ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「だが、もし今、自分の人生に納得がいっていないなら、優しい仲間たちの輪の中にいてはならねぇ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「もし人生を変えたいなら、たった1人でも、前に進んでいく覚悟が必要だ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「生まれてから今まで、長く積み重ねてきた人生を変えたいなら、自分に優しくしてくれる仲間を、振り切って歩む勇気が必要だ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「今持っているものは守りたい。でも新しい未来も欲しい。何も失わず、得るものだけ得たい・・・。多くの人はそんな願望を抱いている」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「だが、欲しいものを手にした者たちは、その多くが、今あるものを捨てる覚悟で歩んできた者たちだ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「もちろん、失敗すれば、すべてを失うこともある。前に進む覚悟とは、そういう事だ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「だからよ、今あるものを守るのも、勇気ある決断だと思う。その方がリスクは少ないし、慣性の法則が働くから大きな努力をする必要もない」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「だがもし、あんたが今の人生を変えたいと、心から願うなら、見たくない現実を洗い出し、尋常ならざる危機感の中で、目標達成に必要な行動を、毎日淡々と積み重ねろ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「もしその結果、うまくいかなかったとしても、壮絶な危機感と緊張感の中で、行動を積み重ね続けた日々は、必ずや、あんたのその後の人生を、大きく変えるだろうぜ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「人生は、過去を捨てる覚悟を決めた時から変わり始める」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「オレはそう思うんだぜ」


ルージュバック
「・・・・」



焼き鳥屋 店主シゲ
「な。」


ルージュバック
「・・はい・・ 涙」



焼き鳥屋 店主シゲ
「フッ。すまねえ。偉そうに言っちまって」


ルージュバック
「・・いえ・・ 涙」


焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・」



ルージュバック
「・・心に響きました・・ 涙」


焼き鳥屋 店主シゲ
「そうかい」



ルージュバック
「・・確かに、あたしは自分を大切にしてくれる周囲の人々に甘えて、自分の足で進んでいく覚悟が、決まっていなかったのかもしれない…」


焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・」



ルージュバック
「・・ありがとうございます、シゲさん。心が軽くなりました。エプソムカップ、全力で頑張ってきます!」


焼き鳥屋 店主シゲ
「おう。応援馬券、買っとくぜ」


ルージュバック
「はい!」



オウケンブルースリ
「はっはっは。一件落着だな。まあよ、周囲の人が優しいと、どうしても自分の心は弱くなりがちだからな。時には、優しさを振り切る勇気も大切なのかもしれないな」


ルージュバック
「はい!」


オウケンブルースリ
「じゃあ俺は帰るぜ。レース頑張れよ」



   カタン



ルージュバック
「ん?何か落としましたよ、オウケンさん。・・DVD?」


オウケンブルースリ
「ああ。拾ってもらっちゃってスマンな。・・はうっ!!汗汗」



 ⇒『【大人のDVD】優しい保母さんと禁断の世界。・・ああっ!もっと優しくしてほしいんでちゅー♪』



ルージュバック
「・・・・」


焼き鳥屋 店主シゲ
「・・・・汗」



オウケンブルースリ
「ち、違うんだ!汗 こ、これには深いワケがっ! 汗汗」


ルージュバック
「・・・シゲさん。エプソムカップがんばってきます。応援しててくださいね。シゲさん『だけが』応援しててくださいね。じゃ。さいなら」


焼き鳥屋 店主シゲ
「お、おう 汗」



オウケンブルースリ
「ち、違うんだぁぁーー!!汗汗」



  - つづく –



※この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。

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