AJCC2016~ ショウナンマイティ『人のせいにしたら、男はそこで終わりだ』
◆アメリカジョッキークラブカップ2016
【ショウナンマイティ】
○Shonan Mighty
○牡8
○父マンハッタンカフェ
○馬名 意味⇒ 冠名+強大な
==========
◆人のせいにしたら、男はそこで終わりだ
≪喫茶店にて≫
ショウナンマイティ
「オレたちは、チーム殿一気(しんがりいっき)」
ウインバリアシオン
「おう。『チーム殿一気』は、あえて確率的に一番不利な、”追い込み”で勝負する」
ショウナンマイティ
「先行策なんざ、力なき者の小細工にすぎねえ」
ウインバリアシオン
「おうよ。あえて困難な道をゆくのが男の美学」
ショウナンマイティ
「ウサイン・ボルトは、距離が 100mしかなくても追い込む」
ウインバリアシオン
「おう。奴もまた、男の中の男」
ショウナンマイティ
「男は黙ってシンガリ一気」
ウインバリアシオン
「そう。俺たちは!」
二人
『チーム殿一気!!』
ショウナンマイティ
「・・『チーム殿一気』は、極悪愚連隊」
ウインバリアシオン
「おうよ。泣く子も黙り、吠えるドーベルマンも、おなかを見せる愚連隊」
ショウナンマイティ
「男の中の男。それが『チーム殿一気』」
ウインバリアシオン
「おうよ。男らしさだけが、チームのアイデンティティ」
ショウナンマイティ
「・・『チーム殿一気』は、喫茶店で他の客は気にせず、大音量で競馬中継のラジオを聞く。しかもテーブルに脚を乗っける極悪スタイル」
ウインバリアシオン
「おうよ。傍若無人は勇気のしるし 土足」
ウェイトレス翔子
「・・あ、あの・・申し訳ございませんが・・他のお客さまのご迷惑となりますので・・ラジオとテーブルの脚を・・ 震」
ウインバリアシオン
「あぁっ?! 睨」
ウェイトレス翔子
「ひぃっ!! 汗」
ウインバリアシオン
「・・ねぇちゃんよぉ・・」
ウェイトレス翔子
「は、はい・・ 震」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ウェイトレス翔子
「・・・・ 震」
ウインバリアシオン
「・・・スマン。ラジオは消す。脚も下ろす」
ウェイトレス翔子
「え?」
ショウナンマイティ
「チーム殿一気は、男の中の男。・・男は、自分が間違っていると気づいたら潔く謝り、新しい価値観を受け入れる」
ウインバリアシオン
「おう。安いプライドにしがみつき、自分の考えに固執するのは小物の証」
ショウナンマイティ
「そう。俺たちは!」
二人
『チーム殿一気!!』
ウェイトレス翔子
「・・・素敵・・ 惚」
ウインバリアシオン
「おう。ねぇちゃん。熱々の鍋焼きうどんはまだか?」
ウェイトレス翔子
「あ、はい。お持ちしました。こちら熱々の『鍋焼きうどん』になります。大変お熱くなっておりますので、フーフーしてお召し上がりください」
ウインバリアシオン
「フン。チーム殿一気は、男の中の男。フーフーなんざ、女子供のやること」
ショウナンマイティ
「そう。どんなに熱くても、熱いとか言わないのが男の花道。間違っても言うなよ?熱いとか。絶対言うなよ?」
ウインバリアシオン
「あたりめえだ。誰にモノ言ってんだコノヤロウ。・・バクッ・・・。あぁっーちゃちゃちゃちゃーー!!熱汗汗」
ショウナンマイティ
「フッ。ダチョウ倶楽部ばりのフリが、男の花道」
ウインバリアシオン
「そう。笑いのためなら、体の苦痛もなんのその。それが男の生きる道」
ショウナンマイティ
「そう。俺たちは!」
二人
『チーム殿一気!!』
ウェイトレス翔子
「・・・・汗」
ショウナンマイティ
「例えば、チーム殿一気が、バスに乗ったとき」
ウインバリアシオン
「おう。次のバス停で降りるから、そろそろ『降車ボタン』を押さなければならねえ」
ショウナンマイティ
「そう。この場合、チーム殿一気はあえて、他の乗客が押すまで『降車ボタン』を押さない」
ウインバリアシオン
「おうよ。自分の欲望を抑えるのが男の証。すなわち、降りたいという欲望も抑えるのが、男の花道」
ショウナンマイティ
「そしてもし、他の乗客が、誰も『降車ボタン』を押さなかったら、終点までノンストップ」
ウインバリアシオン
「おう。見知らぬ終点のバス停で、泣きながら帰り道を模索するのが、男の生きる道」
ショウナンマイティ
「そう。俺たちは!」
二人
『チーム殿一気!!』
ウェイトレス翔子
「・・・・汗」
ウインバリアシオン
「おう、マイティよう」
ショウナンマイティ
「なんだ」
ウインバリアシオン
「・・・いよいよだな」
ショウナンマイティ
「フッ」
ウインバリアシオン
「1年7カ月ぶりの実戦か」
ショウナンマイティ
「ああ。今週の、アメリカジョッキークラブカップ。オレの復帰戦だ」
ウインバリアシオン
「・・・2014年の6月。安田記念を10番人気ながら、殿一気の剛脚で3着。しかしその剛脚は、諸刃の剣」
ショウナンマイティ
「ああ。自分の瞬発力で、脚の骨をやっちまった」
ウインバリアシオン
「・・・もう、走って大丈夫なのか?」
ショウナンマイティ
「フッ。チーム殿一気は、男の中の男。大丈夫かどうかなんざ、興味はねえ」
ウインバリアシオン
「・・強がりやがって」
ショウナンマイティ
「フッ。お前だって、最後のレースの2015年天皇賞春。左前浅屈腱不全断裂となるまで、走り続けただろうが」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ショウナンマイティ
「無茶しやがって。一歩間違えたら、命はなかったんだぞ」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ショウナンマイティ
「お前があの日、最後まで、命がけで走る姿、しかとこの目に焼き付けた」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ショウナンマイティ
「さすがは、チーム殿一気の総長だ。感動したぜ」
ウインバリアシオン
「マイティ・・」
ショウナンマイティ
「今度は、オレの番だ」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ショウナンマイティ
「男の生き様、見とけ」
ウインバリアシオン
「・・・だがマイティよ。なぜ、中山2200mのAJCCなのだ?」
ショウナンマイティ
「・・・・」
ウインバリアシオン
「中山2200mは、マツリダゴッホのような、ゴリラ型の先行馬が、パワーで押し切るのが定番のコースだ」
ショウナンマイティ
「・・・・」
ウインバリアシオン
「逆に言えば、『チーム殿一気』にとっては、相性最悪のコースとも言える」
ショウナンマイティ
「・・・・」
ウインバリアシオン
「なのになぜ、お前はAJCCに・・」
ショウナンマイティ
「シオン」
ウインバリアシオン
「あ?」
ショウナンマイティ
「・・・『チーム殿一気』は、男の中の男。・・男は、あえて一番不利な条件で勝負する」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ショウナンマイティ
「そうだろ? 微笑」
ウインバリアシオン
「・・バカ野郎が・・」
ショウナンマイティ
「ふー。・・・2013安田記念2着。2014安田記念3着。2015はケガで棒に振ったが、2016安田記念を目指したい」
ウインバリアシオン
「・・・思えば、2013安田記念。ロードカナロアの斜行がなければ、お前が勝って・・」
ショウナンマイティ
「やめろシオン」
ウインバリアシオン
「しかし・・」
ショウナンマイティ
「・・オレたちは、チーム殿一気。男の中の男だ。・・・男は、何があっても他者のせいにはしない。すべては自責だぜ」
ウインバリアシオン
「マイティ・・」
ショウナンマイティ
「・・あの時、スタミナに不安のあるロードカナロアが、バテてヨレる可能性。・・鞍上のモンキーが多少のラフプレーをしてくる可能性。・・・想定できていなかったオレが悪い」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ショウナンマイティ
「人のせいにしたら、男はそこで終わりだ」
ウインバリアシオン
「・・・・」
ショウナンマイティ
「だろ? 微笑」
ウインバリアシオン
「・・ああ。その通りだぜ・・ 涙」
ショウナンマイティ
「・・・・」
ウインバリアシオン
「・・・・ 涙」
ショウナンマイティ
「・・脚元の爆弾よう・・。もうちょっとだけ、不発弾でいてくれよな」
ウインバリアシオン
「・・・・ 涙」
ショウナンマイティ
「さあシオン。エンディングの時間だ」
ウインバリアシオン
「・・ああ・・ 涙」
ショウナンマイティ
「今日もキメるぜ。総長」
ウインバリアシオン
「おうよ・・ 涙」
ショウナンマイティ
「行け」
ウインバリアシオン
「・・・最近の世の中は、まっすぐに生きることより、打算的で、小手先的で、こざかしく生きる方が得だという風潮がある」
ショウナンマイティ
「俺たち『チーム殿一気』は、そんな世の中に警鐘を鳴らすべく組織された、男気軍団」
ウインバリアシオン
「あえて損の道を行く。それが、チーム殿一気」
ショウナンマイティ
「それが極悪愚連隊」
ウインバリアシオン
「それが男のアイデンティティ」
ショウナンマイティ
「風が、オレたちを呼んでいる」
ウインバリアシオン
「おうよ。歩み続けよう。誰に馬鹿にされようとも」
ショウナンマイティ
「それが男の生きる道」
ウインバリアシオン
「そう。俺たちは!」
二人
『チーム殿一気!!』
- つづく –