朝日杯FS2015~ エアスピネル『慢心とプライドが不幸の原因となる』


◆朝日杯フューチュリティステークス2015


【エアスピネル】

○Air Spinel
○牡2
○父キングカメハメハ
○馬名 意味⇒ 冠名+タイに伝わる伝説の竜の形をした馬

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◆慢心とプライドが不幸の原因となる



≪超高級料亭にて≫



トゥザグローリー
「大きくなったな。スピネルよ。赤ん坊だったお前がな」


エアスピネル
「うん!グローリーさんは、白髪が増えたね」



トゥザグローリー
「やかましいわ」


エアスピネル
「キャハハ 笑」



トゥザグローリー
「この料亭は、超良血のお坊ちゃましか入店できない、秘密の隠れ家だ」


エアスピネル
「うん!」



トゥザグローリー
「オレは『キンカメ×トゥザヴィクトリー』、そしてお前は『キンカメ×エアメサイア』だからな」


エアスピネル
「うん!」



トゥザグローリー
「おまえは、エアメサイアの息子だから、『メサ夫』だな」


エアスピネル
「やだー!スネ夫みたいで、ダサイー! 汗」



トゥザグローリー
「今週は、朝日杯フューチュリティステークス。超良血の恐ろしさを見せつけてこいや。メサ夫よ」


エアスピネル
「うん!競馬は結局のところ、ブラッドスポーツ。超良血こそが最強。おぼっちゃまこそが支配者だもんね」



トゥザグローリー
「ああ。超良血こそが、キングオブキングス」


エアスピネル
「うん!血統背景が貧相な馬なんか、同じ空気を吸いたくもないよねっ」



トゥザグローリー
「・・・・」


エアスピネル
「・・・・」



トゥザグローリー
「・・・いや、俺はそこまで言ってないけどな」


エアスピネル
「あー!逃げたー!ズルイー 汗」



   カタン



料亭の女将しほ
「いらっしゃいませ。グローリー様。いつもごひいきにしてくださり 微笑」


トゥザグローリー
「おう女将。こいつは次世代の超良血スター候補、メサ夫だ。まだ2歳のガキだがな」



料亭の女将しほ
「あらあら。可愛らしい。今後ともごひいきに。メサ夫さま 微笑」


エアスピネル
「スピネルです 汗」



トゥザグローリー
「女将、ドリンクのメニューをくれ」


料亭の女将しほ
「かしこまりました。こちらになります。本日は、お子様用のオレンジジュースを各種、ご用意しておきました 微笑」



・普通のオレンジジュース 3万円

・果汁100% オレンジ 5万円

・果汁500% オレンジ 10万円

・果汁0% オレンジ 20万円



トゥザグローリー
「フン。安いな」


エアスピネル
「ボクたちのような超良血のお坊ちゃまには、激安だよねっ」



トゥザグローリー
「女将。果汁500%オレンジって何だ?」


料亭の女将しほ
「はい。果汁100%オレンジの水分を飛ばして濃縮し、果汁500%の濃度にしたものでございます。ドロンドロンでございます」



トゥザグローリー
「ほう。うまそうだな」


エアスピネル
「・・ふ、普通は、『濃縮還元』だから、水で戻すよね 汗」



トゥザグローリー
「女将。果汁0% オレンジって何だ?」


料亭の女将しほ
「はい。天然水に、生しぼりオレンジをたっぷりと入れる・・と見せかけて、入れていないジュースでございます」



トゥザグローリー
「ほう。それもうまそうだな」


エアスピネル
「そ、それは、ただの水では 汗 20万で売っていいんですか 汗」



トゥザグローリー
「せっかくだから、高級なやつ行くか」


料亭の女将しほ
「オススメでございます」


エアスピネル
「・・・・」



トゥザグローリー
「じゃあオレは、普通のオレンジジュースで」


エアスピネル
「えぇ~~?!汗 うまそうだとか言ってたのに?! 汗」



トゥザグローリー
「そして、メサ夫には、果汁500%オレンジを」


料亭の女将しほ
「かしこまりました」


エアスピネル
「まてーい!! 汗」



料亭の女将しほ
「少々お待ちくださいませ 微笑」



   パタン



エアスピネル
「グ、グローリーさんっ 汗 ボクも普通のオレンジジュースがいいのー! 汗」


トゥザグローリー
「そんなことよりメサ夫よ。2歳チャンプに向けて、作戦は立てているのか?」



エアスピネル
「うん。今回は強力なライバルがいるからね」


トゥザグローリー
「ほう」



エアスピネル
「・・・リオンディーズ。父キンカメ。母シーザリオという超良血です」


トゥザグローリー
「ほほう。母シーザリオか」


エアスピネル
「はい」



トゥザグローリー
「・・母シーザリオ。てことは・・」


エアスピネル
「・・・・」



トゥザグローリー
「・・ザリ夫だな」


エアスピネル
「そ、そのままやないかいっ 汗」



トゥザグローリー
「ん?母シーザリオってことは・・・」


エアスピネル
「うん。エピファネイアさんの弟だね」



トゥザグローリー
「そうか。アビリティ『エピファイヤー(弟)』が、発動したら、厄介だな」


エアスピネル
「最近、読み始めた読者さんにはわからんでしょ 汗 (弟)ってなんすか 汗」



トゥザグローリー
「じゃあ、リオンディーズファイヤーか?」


エアスピネル
「長すぎでしょ 汗 ファイヤーつければいいってもんじゃないし 汗」



トゥザグローリー
「まあ、シーザリオとエアメサイアは、2005年のオークスで、クビ差の死闘を繰り広げたライバルだからな」


エアスピネル
「うん。あのオークスは、完璧な騎乗を見せた、母エアメサイア(武豊)を、グダグダな騎乗のシーザリオ(福永祐一)が、能力まかせに差し切ってしまったレースだったね!」


トゥザグローリー
「グダグダゆうな 汗」



エアスピネル
「ママさん対決では負けたけど、子供対決ではボクが勝つ! 燃」


トゥザグローリー
「メサJr vs ザリJrだな」


エアスピネル
「それも、ダサイからヤダー! 汗」



トゥザグローリー
「あとはライバルはいるのか?」


エアスピネル
「うん。新潟の新馬戦でぶっちぎりだった、チーム金子のイモータルとか」



トゥザグローリー
「ほう。イモータレか」


エアスピネル
「いや、イモータレではなく、イモータルです 汗 イモータレだったら、胃もたれしてくるから 汗」



トゥザグローリー
「そういえば、イモータレはムーア騎乗の予定だったが、騎乗停止により、武幸四郎に乗り替わりだな」


エアスピネル
「うん。これでイモータレは消えた!胃もたれ解消! 喜」


トゥザグローリー
「天誅だな 汗」



   カタン



料亭の女将しほ
「失礼いたします。お飲み物を持ちしました 微笑」


トゥザグローリー
「おう。サンキュー女将」



料亭の女将しほ
「グローリー様には普通のオレンジジュース。ザリ夫さまには、果汁500%オレンジでございます」


エアスピネル
「いや、ザリ夫じゃなくて、メサ夫です。・・・いや、誰がメサ夫だっ 汗」



トゥザグローリー
「おし。飲むぞ。・・・ゴクゴク。ふむ。ごく普通のオレンジジュースだな」


料亭の女将しほ
「はい。可もなく不可もないオレンジジュースを追求しております」



トゥザグローリー
「ん?どうしたメサ夫。おまえも飲め。果汁500%オレンジ」


エアスピネル
「う、うん・・・グビグビ・・・ブッ!!吹濃」



トゥザグローリー
「う、うおっ!汗 ドロンドロンのオレンジジュースを吹き出すな 汗 超高級スーツにかかったじゃねえか 汗」


エアスピネル
「あ、甘んまぁ~~泣 糖尿になる~~ 泣」



料亭の女将しほ
「・・では、メサ夫さま。この『果汁0%オレンジ(水)』を、チェイサーとしてお飲みください」


エアスピネル
「なるほど!ください!・・ゴクゴク・・。プハァー。助かった!」



料亭の女将しほ
「正しい飲み方としては、果汁500%と果汁0%を混ぜて、濃縮還元してから飲んでくださいませ」


エアスピネル
「最初に言ってよー 汗 還元しないで飲んじゃったし 汗」



トゥザグローリー
「ときにメサ夫よ。今回の朝日杯フューチュリティステークスは、レジェンド武豊の『JRA平地GI 全22レース完全制覇』が、かかっているようだな」


エアスピネル
「うん!前人未到のスーパーレコード達成が、ボクの勝利によって、もたらされるのだー! 喜」



トゥザグローリー
「そうか。まあおまえも、デイリー杯2歳ステークスの圧勝で、ずいぶんチヤホヤされてるようだな」


エアスピネル
「うんー。この超良血!この能力!ボクの周りの大人達は、みんなボクに気を遣って、へーコラしてるのだー! 喜」


トゥザグローリー
「フン。まぁそうなるだろうな」



エアスピネル
「この間も、打ち合わせの時に出てきたカルピスが濃かったから、『濃いよバカ』って言ったら、大人たちは慌てて、濃縮還元してたよー 喜」


トゥザグローリー
「お前、そのパターン多いな 汗 つーか、打ち合わせってなによ 汗」



エアスピネル
「ボクは生まれついてのスターだから、庶民とは違うのだー 喜」


トゥザグローリー
「それもまた、良血の運命だろう」



エアスピネル
「ボクは、生まれ変わってもボクでありたいっ。まだ2歳だけど」


トゥザグローリー
「もう庶民には戻れねえな」



エアスピネル
「まさに!若きスーパースター! 喜」


トゥザグローリー
「ガッハッハ。自信満々だな」



エアスピネル
「超良血らしく、このまま美しい戦績で引退まで駆け抜けるんだいっ 喜」


トゥザグローリー
「ガッハッハ。良血の底力見せてこいや」


エアスピネル
「うんっ」



トゥザグローリー
「なあ女将。女将からも、メサ夫に激励の言葉をかけてやってくれ」


料亭の女将しほ
「・・・・」


エアスピネル
「えへへー」



料亭の女将しほ
「メサ夫さま」


エアスピネル
「うん」



料亭の女将しほ
「・・・・」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「・・・慢心を育ててはなりませぬ」


エアスピネル
「え?」



料亭の女将しほ
「・・慢心。すなわち、安いプライドは、幸福を破壊する元凶でございます」


エアスピネル
「な、なんで・・」



料亭の女将しほ
「自分のことをすごいと思う心。自分は他の人とは違うと思う心。このような『慢心』は、怒りを増幅させます」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「『この俺さまに、なんだその態度は!』・・・安いプライドを抱え込んでいる人ほど、このような安い怒りが増えてしまう」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「怒れば人に嫌われる。怒ればノルアドレナリンの分泌過剰により病気になる」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「つまり、自分はすごいんだと慢心すればするほど、人に嫌われ、病気になり、幸福を破壊するのでございます」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「特に、若い頃は気をつけなければなりません。若い頃は、精神的に未成熟であり、少しチヤホヤされただけで、あっという間に『慢心』が、大きく育ってしまうからでございます」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「たとえば芸能界で、若くしてスーパースターとなる『子役』は、なぜその多くが不幸になってしまうのでしょうか?」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「その原因の1つが、慢心を育ててしまったことにあるとしたら?」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「普通は、子供の慢心は、親のしつけによって正常な範囲に抑制されます」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「しかし、子役としてスターになった子供の親は、自分たちに入ってくるお金を失いたくないが故に、子供をしつけることができなくなってしまいます。そして子供は慢心し、幸福から遠ざかってしまう」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「・・・メサ夫さまには、そのような道を歩んでほしくないのでございます」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「若きスーパースターになるのは結構。ですが、自分で自分のことを、スーパースターなどと思ってはなりません」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「そんなものは、周囲の評価に過ぎない」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「人生は常に、ただ自分との戦いであり、周囲の評価に右往左往してはならない」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「メサ夫さま」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「あなた様には、安っぽい虚栄心に支配されるような馬ではなく、心技体を兼ね備えた、真のカリスマとなっていただきたいのです」


エアスピネル
「・・・・」



料亭の女将しほ
「・・・申し訳ございません。私ごときが偉そうなことを・・」


エアスピネル
「ううん・・」


料亭の女将しほ
「・・・・」



エアスピネル
「・・・ありがとう女将さん。・・女将さんの言う通りだよ」


料亭の女将しほ
「・・・・」



エアスピネル
「たった2戦しただけで・・。良血に生まれついたというだけで・・。ボクは、チヤホヤされ、勘違いしてた・・」


料亭の女将しほ
「・・・・」



エアスピネル
「危うく道を踏み外すところだった。女将さんのおかげです!」


料亭の女将しほ
「ありがたきお言葉にございます 微笑」



トゥザグローリー
「ふむ。そうだぞメサ夫。オレも今、そう言おうと思っていたのだ」


エアスピネル
「嘘つかないでよー 汗 『ガッハッハ。良血の底力見せてこいや』とか言ってたでしょー 汗」



トゥザグローリー
「まあいいだろ。さて、じゃあ女将。俺らはそろそろ帰るぜ」


エアスピネル
「ごちそうさまでした。女将さん。ドリンクしか飲んでないけど」



料亭の女将しほ
「・・・グローリー様。メサ夫様。本日もありがとうございました。お帰りの前に、恒例の・・・『おみや』をご用意してございます ニヤリ」


トゥザグローリー
「おし。キタ」


エアスピネル
「え? 汗」



料亭の女将しほ
「本日の『おみや』も、当店自慢の美女ぞろいでございます ニヤリ」


トゥザグローリー
「っしゃーー!!燃」


エアスピネル
「お、おみやって何? 汗」



料亭の女将しほ
「さあ、おまえたち!入りなさい!」



   ゾロゾロ



料亭の女将しほ
「・・・左から、『ガッキー・イッコー・マツコ』、でございます。ささ、お好きな『おみや』をお持ち帰りくださいませ ニヤリ」


トゥザグローリー
「うむ。美女揃いだな」


エアスピネル
「ジ、ジョーカーが2枚まざってるけど 汗」



料亭の女将しほ
「ささ、お二人さま。お好きな『おみや』をお選びください ニヤリ」


エアスピネル
「い、いやいや!汗 女将さん!ボクまだ子供だし、そういうことは、ちょっと。・・・ねえ?グローリーさん」



トゥザグローリー
「・・・女将。ピン子は?」


料亭の女将しほ
「申し訳ございません。ピン子は風邪を引いておりまして…。グローリー様にうつしては大変ですので、休ませております」



トゥザグローリー
「むう。そうか。じゃあ一択だな。ガッ・・」


ガッキー
「わー♪この子カワイイー♪」


エアスピネル
「え 照」



ガッキー
「ねえねえ、キミ。お姉ちゃんとさ、遊ぼうよ♪3DSもあるよ♪」


エアスピネル
「わーい!ゲーム!ゲーム! 喜」



ガッキー
「じゃあ行こっか♪」


エアスピネル
「うんっ 喜」


トゥザグローリー
「ちょ、ちょっとま・・」



   バタン



トゥザグローリー
「・・・・」


マツコ
「・・・という事は?」


イッコー
「・・・必然的に?」



トゥザグローリー
「い、いや、オレはオネエはちょっと無・・」


マツコ
「さて。時間がないから、かついでホテルに運ぶわよ 腕持」



トゥザグローリー
「おおうっ!汗 持ち上げるな!バカ! 汗」


イッコー
「やだー!どんだけー! 喜」



料亭の女将しほ
「いってらっしゃいませ。グローリー様。・・ニヤリ」


トゥザグローリー
「うおおー!やめろーー!!離せえーー!!汗汗」



  - つづく –

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