函館スプリントS2015~ ティーハーフ『姑息な手を使えば男気を失い不幸になる』


◆函館スプリントステークス2015


【ティーハーフ】

○Teehaff
○牡5
○父 ストーミングホーム
○馬名 意味⇒ Tee(T字型の)とHaff(ドイツ語の潟)からの造語

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◆姑息な手を使えば男気を失い不幸になる



≪喫茶店にて≫



ショウナンマイティ
「オレたちは、チーム殿一気(しんがりいっき)」


ウインバリアシオン
「おう。『チーム殿一気』は、あえて確率的に一番不利な、”追い込み”で勝負する」



ショウナンマイティ
「先行策なんざ、力なき者の小細工にすぎねえ」


ウインバリアシオン
「おうよ。あえて困難な道をゆくのが男の美学」



ショウナンマイティ
「ウサイン・ボルトは、距離が 100mしかなくても追い込む」


ウインバリアシオン
「おう。奴もまた、男の中の男」



ショウナンマイティ
「男は黙ってシンガリ一気」


ウインバリアシオン
「そう。俺たちは!」


二人
『チーム殿一気!!』」



ショウナンマイティ
「・・『チーム殿一気』は、極悪愚連隊」


ウインバリアシオン
「おうよ。泣く子も黙り、吠えるドーベルマンも、おなかを見せる愚連隊」



ショウナンマイティ
「男の中の男。それが『チーム殿一気』」


ウインバリアシオン
「おうよ。男らしさだけが、チームのアイデンティティ」



ショウナンマイティ
「・・『チーム殿一気』は、喫茶店のテーブルに脚をのっける 脚」


ウインバリアシオン
「おうよ。傍若無人は勇気のしるし 脚」



ウェイトレス翔子
「・・あ、あの・・申し訳ございませんが・・他のお客さまのご迷惑となりますので・・テーブルに脚は・・ 震」


ウインバリアシオン
「あぁ?!」



ウェイトレス翔子
「ひぃっ!! 汗」


ウインバリアシオン
「・・ねぇちゃんよぉ・・」


ウェイトレス翔子
「は、はい・・ 震」



ウインバリアシオン
「・・・・」


ウェイトレス翔子
「・・・・ 震」



ウインバリアシオン
「・・・スマン。脚は下ろす」


ウェイトレス翔子
「え?」



ショウナンマイティ
「チーム殿一気は、男の中の男。・・男は、自分が間違っていると気づいたら、潔く謝る」


ウインバリアシオン
「おう。それが男の生きる道」



ショウナンマイティ
「そう。俺たちは!」


二人
『チーム殿一気!!』」


ウェイトレス翔子
「・・・素敵・・ 惚」



ウインバリアシオン
「おい、ねえちゃん」


ウェイトレス翔子
「はい・・・ 惚」



ウインバリアシオン
「今日は、安全日か?」


ウェイトレス翔子
「え? 汗」



ウインバリアシオン
「どうなんだ?」


ウェイトレス翔子
「あ、はい、あの・・・どちらかと言うと・・安全日です・・ 照」



ウインバリアシオン
「そうか。じゃあ、用なしだ」


ウェイトレス翔子
「え?」



ショウナンマイティ
「チーム殿一気は、男の中の男」


ウインバリアシオン
「おうよ。男はあえて、危険日に勝負する」



ショウナンマイティ
「そう。スリルこそが、男の生きる道」


ウインバリアシオン
「おう。その日暮らしの極悪愚連隊」



ショウナンマイティ
「そう。俺たちは!」


二人
『チーム殿一気!!』」


ウェイトレス翔子
「・・・・汗」



ショウナンマイティ
「例えば、チーム殿一気が、スーパーで『50%OFF』の、弁当を見つけた時」


ウインバリアシオン
「おうよ。チーム殿一気は、あえて『50%OFF』のシールをはがして、定価でレジに行く」



ショウナンマイティ
「そう。自分に有利な材料を、あえて捨てゆくのが、男の中の男」


ウインバリアシオン
「値引きしてもらって、値段が下がったー♪と喜べば、同時に、男としての価値も下がる」



ショウナンマイティ
「そう。俺たちは!」


二人
『チーム殿一気!!』」



ショウナンマイティ
「例えば、チーム殿一気が、インスタント焼きそばを作るとき」


ウインバリアシオン
「おうよ。チーム殿一気は、あえて最初からソースを入れる」



ショウナンマイティ
「そう。インスタント焼きそばのソースを先に入れてしまうと、湯切りの時にソースも全部流れてしまう」


ウインバリアシオン
「おうよ。味のしない『一平ちゃん』を、泣きながら食うのが、男の証」



ショウナンマイティ
「武士は食わねど高楊枝。・・そう。俺たちは!」


二人
『チーム殿一気!!』」



ショウナンマイティ
「さあ。今日も、迷える子羊が現れたようだぜ」


ウインバリアシオン
「おう。そのようだな」



≪隅っこの席にて≫



ティーハーフ
「ふぅー。今週は、北海道で函館スプリントステークス。作戦はやはり・・」


ウインバリアシオン
「おう。兄ちゃん ドカッ 座」


ショウナンマイティ
「悩み事か? ドカッ 座」



ティーハーフ
「な、なんですか?汗 カツアゲ?お金なら持ってません! 汗震」


ショウナンマイティ
「フン。チーム殿一気は、男の中の男。カツアゲなど卑怯者のやること」



ウインバリアシオン
「おうよ。むしろ俺達が、お前のコーヒー代も払ってやる。伝票よこせ」


ティーハーフ
「マ、マジすか 汗」



ウインバリアシオン
「おう。お前の事は調べさせてもらった」


ショウナンマイティ
「・・・ティーハーフ。短距離戦でも、最後方から追い込む、男の中の男スタイル」


ティーハーフ
「え」



ウインバリアシオン
「気に入った」


ショウナンマイティ
「今日からお前も、チーム殿一気」


ティーハーフ
「は? 汗」



ウインバリアシオン
「函館スプリントSは、4角最後方で周ってこい」


ティーハーフ
「む、無理ですよ!汗 函館1200の直線は、260mしかないんですよ?!汗 しかも開幕週! 汗」



ウインバリアシオン
「ウサイン・ボルトは、100m走でも追い込む」


ティーハーフ
「ボルトじゃないですもん 汗」



ウインバリアシオン
「『チーム殿一気』は、あえて確率的に一番不利な、”追い込み”で勝負する」


ティーハーフ
「なんで勝手にチームに入れられてんすか 汗」



ウインバリアシオン
「じゃあ、お前の意見を言ってみろ」


ティーハーフ
「は、はあ。あの~・・僕は最近、好位で競馬ができるようになり、2連勝してます。だから、函館スプリントも好位から進めて・・」



ウインバリアシオン
「ダメだ」


ティーハーフ
「え? 汗」



ウインバリアシオン
「お前はそれでも、チーム殿一気の一員なのか?」


ティーハーフ
「い、いや、そもそも、チーム殿一気ではないです 汗」



ウインバリアシオン
「・・・今年の函館スプリントステークス。有力なのは、先行馬のコパノリチャード。そして逃げ馬のアンバルブライベン」


ティーハーフ
「そ、そうなんです!だからその2頭を直後に見て、マークしてい・・」



ウインバリアシオン
「よく聞け、小僧」


ティーハーフ
「は?」



ウインバリアシオン
「姑息な手を使った自分、という思いが、潜在意識にネガティブな感情を累積させる」


ティーハーフ
「え?」



ウインバリアシオン
「世の中には、こざかしい知識を増やすことで、合法的に人より多くの利益を得る方法が、確かにある」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「多くの者は、小手先のテクニックで小銭が増えたことを喜ぶ」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「だが、その小銭と引き換えに、もっと大きなものを失っていることに気づかない」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「何を失っているか、わかるか?」


ティーハーフ
「・・・わ、わかりません」



ウインバリアシオン
「男気だ」


ティーハーフ
「男気・・」



ウインバリアシオン
「そうだ。男気とは、自分の心に嘘のない、透明で、まっすぐな想い」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「人は誰しも、生まれた時は男気の塊だ」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「赤ちゃんは計算しない。自分の心に素直に、まっすぐ生きている」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「それがいつしか、まっすぐに生きることより、打算的で、小手先的で、こざかしく生きる方が得だと考え始める」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「俺たち『チーム殿一気』は、そんな世の中に警鐘を鳴らすべく組織された、男気軍団」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「あえて損の道を行く。それが、チーム殿一気」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「そんな俺たちを、世間の奴らは、バカだと言うだろう」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「もちろん、賢く生きている奴より、損をすることもたくさんある」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「だが、それでも俺たちは、チーム殿一気であり続ける」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「なぜなら、まっすぐに貫いた男気は、長い目で見れば、自分の人生を幸福感あふれるものにしてくれるからだ」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「姑息に生きて、小銭を稼いでも、肝心の人生が苦しくなってしまっては、意味がねぇ」


ティーハーフ
「・・・・」



ウインバリアシオン
「・・・フン。まあこれは、あくまで俺たちの思想。押しつけるつもりはない。邪魔したな。コーヒー代は払っておいてやる。じゃあな」


ショウナンマイティ
「じゃあな」



ティーハーフ
「あ・・。あの・・」


ウインバリアシオン
「なんだ」



ティーハーフ
「・・・・」


ウインバリアシオン
「・・・・」



ティーハーフ
「・・ありがとうございました・・」


ウインバリアシオン
「・・・・」


ティーハーフ
「自分は、まだまだ男気が足りませんが、チーム殿一気の熱い思い!心に響きました!」



ウインバリアシオン
「おうよ。俺たちの名は『チーム殿一気』。名乗るほどの者ではない」


ショウナンマイティ
「おうよ。名乗っちゃってるぜ」



ショウナンマイティ
「そう。それが極悪愚連隊」


ウインバリアシオン
「おうよ。それが男のアイデンティティ」



ショウナンマイティ
「風が、オレたちを呼んでいる」


ウインバリアシオン
「おうよ。歩み続けよう。誰に馬鹿にされようとも」



ショウナンマイティ
「それが男の生きる道」


ウインバリアシオン
「そう。俺たちは!」



二人
『チーム殿一気!!』」



  - つづく –

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