弥生賞~トゥザワールド『他人を見下す者はいつか見下される』
◆弥生賞2014
【トゥザワールド】
○To the World
○牡3
○父 キングカメハメハ
○馬名の意味⇒ 世界へ向かって
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◆他人を見下す者はいつか見下される
≪超高級料亭にて≫
トゥザグローリー
「よし。ついたぞワールド」
トゥザワールド
「・・・兄さん。この店は?」
トゥザグローリー
「おう。オレの行きつけの、超高級料亭だ。女将が美人でな」
トゥザワールド
「そうですか。まあボクはどこでもいいですが」
トゥザグローリー
「俺らは、超良血のおぼっちゃまだから、どんなに高い店でも大丈夫だしな」
トゥザワールド
「そうですね。兄さん。では入りましょう」
カラカラ
料亭の女将しほ
「いらっしゃいませ。グローリー様。本日のお連れの方は?」
トゥザグローリー
「おう。こいつはワールド。オレの全弟だ」
トゥザワールド
「はじめまして。いつも兄がお世話になってます」
料亭の女将しほ
「あらあら。グローリー様の弟さまでしたか。それでは本日は、最高級のお料理で、おもてなし致します 微笑」
トゥザグローリー
「おう。頼むぜ女将」
料亭の女将しほ
「ではまず、お飲み物のメニューでございます」
・ビール 10万円
・キャビール 50万円
・あわビール 200万円
トゥザグローリー
「ふむ。どれにする?ワールド」
トゥザワールド
「・・・こ、この、キャビールというのは? 汗」
料亭の女将しほ
「はい。キャビールは、ビールの炭酸の代わりに、最高級キャビアをふんだんに投入したものでございます」
トゥザワールド
「キ、キャビアって炭酸の代わりになるんですか? 汗」
料亭の女将しほ
「ビールジョッキに浮かぶ、黒い泡のようなキャビアが、官能的なのでございます」
トゥザワールド
「そ、そうなんですね 汗 じゃあこの、あわビールってのは? 汗」
料亭の女将しほ
「はい。あわビールは、大ジョッキの中に超高級あわびだけを、大量に詰め込んだものでございます。水分はありません」
トゥザワールド
「そ、それはビールじゃなくて、あわびなのでは 汗」
料亭の女将しほ
「あわビールでございます」
トゥザワールド
「まずビールから飲むのが普通だから、誰も頼まないでしょ 汗」
トゥザグローリー
「じゃあ、あわビールで」
トゥザワールド
「た、頼むんかいっ!!汗」
料亭の女将しほ
「かしこまりました。ワールド様は?」
トゥザグローリー
「こいつも、あわビールで」
トゥザワールド
「えぇ~~!!汗汗」
料亭の女将しほ
「かしこまりました。では、少しご歓談を。失礼致します」
パタン
トゥザグローリー
「飲み物だけで、400万円か。格安だな。ワールドよ」
トゥザワールド
「そうですね。僕ら、おぼっちゃまには、小銭ですね。兄さん」
トゥザグローリー
「・・・弥生賞の自信はどうだ?」
トゥザワールド
「ええ。関東圏への遠征は初めてなので、皐月賞・ダービーでの輸送の前に、経験できるのは、ありがたいですね」
トゥザグローリー
「そうだな。母さん(トゥザヴィクトリー)のためにも、おまえにはクラシックタイトルを獲ってもらいたい」
トゥザワールド
「はい。母さんも、兄さんも届かなかったクラシックですからね」
トゥザグローリー
「おまえには期待している」
トゥザワールド
「わかっています」
トントン
料亭の女将しほ
「失礼致します。あわビールをお持ち致しました」
トゥザグローリー
「おし。飲むぞ。ワールド」
トゥザワールド
「飲めないでしょ 汗」
トゥザグローリー
「・・・むぐむぐ・・ん・・。飲めんぞワールド」
トゥザワールド
「そりゃそうでしょ 汗 ただの、アワビなんですから 汗」
料亭の女将しほ
「ふふ。そんなこともあろうかと、お通しに、ビールを持ってまいりました 微笑」
トゥザグローリー
「おお。さすが女将。お通しにビールとは、気がきくな。ゴクゴク・・・プハァー。うまい 喜」
トゥザワールド
「さ、最初からビール頼めばよかったのでは 汗」
トゥザグローリー
「おふざけはこれくらいにして、ワールドよ」
トゥザワールド
「はい」
トゥザグローリー
「おまえの3連勝はすべて、4角の下り坂で勢いをつけられる京都コース。今回は、器用さを求められる中山だ」
トゥザワールド
「そうですね」
トゥザグローリー
「ライバルはすでに重賞で活躍している。おまえは立場的には格下だ」
トゥザワールド
「はい」
トゥザグローリー
「あくまで本番は先だが、ここで無様な競馬はできんぞ」
トゥザワールド
「わかっています。能力では負けませんよ」
トゥザグローリー
「そうか。・・・あ。オレちょっとトイレな」
トゥザワールド
「いってらっしゃい」
パタン
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「グローリー様は、弟さん思いですね 微笑」
トゥザワールド
「うん。兄さんのためにも、トライアルとは言え、勝たなきゃね」
料亭の女将しほ
「・・・自信はございますか?」
トゥザワールド
「ふっ。あるよー。もちろん」
料亭の女将しほ
「そうでございますか」
トゥザワールド
「相手は、重賞で活躍してきたとは言え、大したライバルじゃない」
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「競馬は良血が最強。負けようがないよ。はっは」
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「結局、勝つべき者は、生まれながらにして勝つことが決まっているのさ 喜」
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「まあ才能の無い奴の努力は、涙ぐましいがね 笑 あ。女将、あわビールおかわりね 喜」
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「・・・ん?女将?」
料亭の女将しほ
「ワールド様は、これからの競馬界を引っ張っていかれるお方なので、あえて苦言を」
トゥザワールド
「ん?」
料亭の女将しほ
「・・・他者を見下してはなりませぬ」
トゥザワールド
「え?」
料亭の女将しほ
「他者を見下して得た優越感のツケは、必ずや、自分自身に返ってくるでしょう」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「他者を見下す者は、遠くない未来で、逆に見下されることとなります」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「人生は、他人との比較で作るものではない」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「喜びも、悲しみも、達成感も、優越感も、他人との比較で得てはなりませぬ」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「他人と比較して得た感情は、虚構」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「人生は、他人との相対比較ではなく、自分自身の絶対的な価値基準で、作り上げていかなければなりませぬ」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「どうか、砂上の楼閣となりませぬよう・・・」
トゥザワールド
「・・・・」
料亭の女将しほ
「・・・申し訳ございません。ワールド様。わたくしごときが、生意気な口を」
トゥザワールド
「・・・いや・・」
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「・・・ありがとう。女将」
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「あやうく自分を見失うところだった・・」
料亭の女将しほ
「・・・・」
トゥザワールド
「女将のおかげで、客観的になれた」
料亭の女将しほ
「・・いえ。それに気づいたのは、ワールド様のお心なのですよ 微笑」
トゥザワールド
「ふふ。ありがとう。今日、ここに来てよかった」
料亭の女将しほ
「さようでございますか 微笑」
パタン
トゥザグローリー
「ふー。難産だったぜ 汗」
トゥザワールド
「あ。兄さん。難産とか言わないでください 汗 食事中なんで 汗」
料亭の女将しほ
「さて、グローリー様と、ワールド様に、本日は女将より、『おみや』がございます ニヤリ」
トゥザグローリー
「おし!きた! 喜」
トゥザワールド
「おみや?」
料亭の女将しほ
「・・おまえたち!入りなさい」
ゾロゾロ
料亭の女将しほ
「・・本日は、お好きな娘を、お持ち帰りください ニヤリ」
トゥザワールド
「い、いや!そーゆーのはマズイのでは! 汗」
料亭の女将しほ
「・・左から、蝶野・長州・ピン子でございます」
トゥザワールド
「ど、どこが娘なんすか 汗」
料亭の女将しほ
「ささ。お好きな娘を」
トゥザワールド
「け、結構です 汗 つーか、誰も選ばないでしょ 汗 男性比率が66%だし 汗」
料亭の女将しほ
「レスラー比率も66%でございます」
トゥザワールド
「ちょっと、兄さんもなんとか言ってよ 汗」
トゥザグローリー
「じゃあ、ピン子で」
トゥザワールド
「えぇ~~!!汗汗」
ピン子
「いやぁ~ん♪ 喜」
トゥザワールド
「いやーん、じゃなくて 汗」
トゥザグローリー
「ピン子。今夜も寝かさないぜ」
ピン子
「そったらこと言われたら、ドキドキしちゃうべさ~♪」
パタン
トゥザワールド
「・・・に、兄さん・・・汗」
蝶野
「オイ!オマエ!オレと長州、どっちを選ぶんだオラ!! 怒」
トゥザワールド
「い、いえ、あの・・ 汗」
蝶野
「オマエの決断が遅いから、長州もキレてるんだぞ! 怒」
長州
「・・キレてないですよ」
蝶野
「ガッデム!!」
トゥザワールド
「・・た、たぁすけてぇーー!!泣」
- つづく –