菊花賞~トゥザワールド『自分自身に失望した時、道が開ける』


◆菊花賞2014


【トゥザワールド】

○To the World
○牡3
○父 キングカメハメハ
○馬名の意味⇒ 世界へ向かって

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◆自分自身に失望した時、道が開ける



≪超高級料亭にて≫



トゥザグローリー
「さあワールドよ。ついに我ら、超良血トゥザ一族の悲願、クラシック3冠制覇の日が来た」


トゥザワールド
「い、いや兄さん 汗 ボクまだ1冠も取ってません 汗」



トゥザグローリー
「フン。皐月賞はまさかの17番枠。ダービーは後方から行った馬の中では最先着。ゆえに、実質2冠馬だ」


トゥザワールド
「そ、そうなんですかね 汗」



トゥザグローリー
「今回、菊花賞には目の上のたんこぶである、モスラボニータがおらん。ゆえに、実質3冠確定だ」


トゥザワールド
「イスラボニータです 汗」



   カタン



料亭の女将しほ
「いらっしゃいませ。グローリー様。ワールド様。いつもごひいきにしてくださり 微笑」


トゥザグローリー
「おう女将。ドリンクのメニューをくれ」



料亭の女将しほ
「かしこまりました。こちらになります。本日は超高級ワインが入荷されておりますので、オススメでございます 微笑」



・白ワイン 5万円

・赤ワイン 8万円

・黒ワイン 20万円

・ゴングロワイン 50万円



トゥザグローリー
「フン。安いな」


トゥザワールド
「兄さん。僕らのような超良血のおぼっちゃまにしてみれば、激安だね」



トゥザグローリー
「女将。この黒ワインって何だ?」


料亭の女将しほ
「はい。黒ワインは、赤ワインをさらに数百年熟成させ、ドロンドロンになった粘着物質でございます」


トゥザワールド
「・・・・汗」



トゥザグローリー
「ふむ。じゃあこの、ゴングロワインとは?」


料亭の女将しほ
「はい。ゴングロワインは、黒ワインからさらに数千年熟成させ、カチンコチンになった、ゴン黒い塊でございます」



トゥザグローリー
「なるほど。うまそうだな」


料亭の女将しほ
「激レアでございます」


トゥザワールド
「・・・・汗」



トゥザグローリー
「じゃあオレは、白ワインで」


トゥザワールド
「えぇ~~?!汗 うまそうだなとか言ってたのに?! 汗」



トゥザグローリー
「そしてワールドには、ゴングロワインを」


料亭の女将しほ
「かしこまりました」


トゥザワールド
「まてーい!! 汗」



料亭の女将しほ
「少々お待ちくださいませ 微笑」



   パタン



トゥザワールド
「に、兄さん 汗 ボクも白ワインが良かったんですが 汗」


トゥザグローリー
「そんなことよりワールドよ。ライバルたちの分析は進んでいるのか?」



トゥザワールド
「はい。今回のメンバー的に、おそらく1番人気はダービー馬、ワンアンドオンリーでしょう」


トゥザグローリー
「ふむ」



トゥザワールド
「ワンアンドオンリーの前哨戦、神戸新聞杯は、休み明けで仕上がりユルユル。その状態で大マクリ。直線半ばで一旦失速。差されて惨敗かと思いきや、そこからまさかの再加速。あれは強い競馬でした」


トゥザグローリー
「フン」



トゥザワールド
「やはりこいつが最大の敵となるでしょう」


トゥザグローリー
「ふむ。他には?」



トゥザワールド
「はい。その神戸新聞杯で3着だった、トーホウジャッカル。こいつは前にいたワンアンドオンリーとサウンズオブアースの間を割ろうとしたら、嫌がらせでガッツリ閉められて追えず。3着まででした」


トゥザグローリー
「ふむ」



トゥザワールド
「脚色では差し切っていた勢いでした。要注意でしょう」


トゥザグローリー
「そうか」



トゥザワールド
「ちなみにトーホウジャッカルは、ここで菊花賞を勝つと、『デビューから149日目での菊花賞制覇』となり、最短記録達成です」


トゥザグローリー
「ほう。その記録の、現在のレコードホルダーは誰だ?」



トゥザワールド
「オウケンブルースリです」


トゥザグローリー
「むう。オウケンか」



トゥザワールド
「オウケンブルースリは、デビューから184日での菊花賞制覇だったようです」


トゥザグローリー
「フン。オレも、オウケンとは何度も戦ったぜ」



トゥザワールド
「そうでしたか」


トゥザグローリー
「おう。2011年のジャパンカップでは、オレとオウケンの熾烈な10~11着争いだったのだ」



トゥザワールド
「ど、どっちが勝ったんですか? 汗」


トゥザグローリー
「その時はハナ差で、オウケン10着。オレ11着だ。だが力負けだとは思ってねえ」


トゥザワールド
「・・・・汗」



トゥザグローリー
「オウケンが、オレの横っ腹にヒジを入れてきやがったから、オレはカウンター気味に右ストレートで奴のアゴを打ち抜いたんだが、そんなことやってる間に、ブエナビスタはもう1着でゴールしてやがったんだ」


トゥザワールド
「・・・・汗」



トゥザグローリー
「また、2012年の有馬記念は、オレとオウケンとネヴァブションの熾烈なビリ争いだった」


トゥザワールド
「だ、誰がビリだったんですか? 汗」



トゥザグローリー
「オレだ」


トゥザワールド
「に、兄さん 汗」



トゥザグローリー
「レース中にオウケンが後ろから、『おおっ!こんなところにナースのお仕事の最新作がっ♪』とか言うから、つい探しに行っちまってな」


トゥザワールド
「・・・・汗」



   カタン



料亭の女将しほ
「失礼いたします。お飲み物を持ちしました 微笑」


トゥザグローリー
「おう。サンキュー女将」



料亭の女将しほ
「グローリー様には白ワイン。ワールド様にはゴングロワインでございます」


トゥザグローリー
「おし。・・・ゴクゴク。ふむ。やや辛口で、切れがいい白ワインだな。魚料理に合いそうだ」


料亭の女将しほ
「自慢の逸品でございます 微笑」



トゥザグローリー
「ん?どうしたワールド。おまえも飲め。ゴングロワイン」


トゥザワールド
「い、いや、飲めと言われましても、ただの炭の塊です 汗」



トゥザグローリー
「かじれ」


トゥザワールド
「いやです 汗」



料亭の女将しほ
「スムージーにしましょうか? 微笑」


トゥザワールド
「結構です 汗」



トゥザグローリー
「・・・まあしかし、ワールドよ。マジで菊花賞は勝てよ。ここが最大のチャンスだぞ」


トゥザワールド
「・・・・」



トゥザグローリー
「ん?」


トゥザワールド
「・・・自信が・・ないんです・・ 落」


トゥザグローリー
「ワールド・・」


料亭の女将しほ
「・・・・」



トゥザワールド
「・・・4連勝で挑んだクラシック。3冠まで期待されたのに、そこからは負け続き・・ 落」


トゥザグローリー
「・・・・」



トゥザワールド
「日本を代表する超良血の家に生まれ、生まれながらに勝つ事を義務付けられていたのに・・・落」


トゥザグローリー
「・・・・」



トゥザワールド
「・・兄さん・・。僕はもう自信がありません・・ 落」


トゥザグローリー
「ワールド・・」



トゥザワールド
「自分自身に失望しちゃいましたよ・・ははっ。脱力ーって感じです 苦笑」


トゥザグローリー
「うーむ」



トゥザワールド
「こんな僕じゃダメですよね。菊花賞なんか勝てませんよね。ははっ 苦笑」


トゥザグローリー
「むう・・」



トゥザワールド
「・・・たはっ。ごめん。兄さん。ダメな弟で・・・ 落」


トゥザグローリー
「・・・・」


トゥザワールド
「・・・・ 落」



料亭の女将しほ
「・・・自分自身への失望が、悪いことだとは思いませぬ」


トゥザワールド
「え?」


トゥザグローリー
「む」



料亭の女将しほ
「・・人生が順調に進み、自分に自信があるうちは、まだまだヒヨッ子でございます」


トゥザワールド
「・・・・」



料亭の女将しほ
「人生は、勢いだけで勝ち続ける事はできません。短期的には勝てても、その勢いは、いつか必ず止まる時が来るのです」


トゥザワールド
「・・・・」



料亭の女将しほ
「そこからが本当の勝負。成功者と失敗者を分けるポイントは、自分自身に失望した時の行動によって決まるのです」


トゥザワールド
「・・・・」



料亭の女将しほ
「実は、『自分自身に失望した時』というのは、裏を返せば、とてつもなく大きな飛躍のチャンスとも言えます」


トゥザワールド
「・・・・」



料亭の女将しほ
「失望と脱力。それは、ワールドさまが、今よりも大きく成長するための、キッカケとなるもの・・かもしれませんね 微笑」


トゥザワールド
「・・・・」



料亭の女将しほ
「・・・申し訳ございません。私ごときが偉そうなことを・・」


トゥザワールド
「いや・・」


料亭の女将しほ
「・・・・」



トゥザワールド
「・・・ありがとう女将。・・女将の言う通りかもしれないな」


料亭の女将しほ
「ありがたきお言葉にございます 微笑」



トゥザグローリー
「ふむ。そうだぞワールド。オレも今、そう言おうと思っていたのだ」


トゥザワールド
「嘘つかないでください 汗」



トゥザグローリー
「じゃあ女将。俺らはそろそろ帰るぜ」


料亭の女将しほ
「・・・グローリー様。ワールド様。本日もありがとうございました。お帰りの前に、恒例の・・・『おみや』をご用意してございます ニヤリ」


トゥザグローリー
「おし。キタ」


トゥザワールド
「・・・・ 汗」



料亭の女将しほ
「本日の『おみや』も、当店自慢の美女ぞろいでございます ニヤリ」


トゥザグローリー
「っしゃーー!!燃」


トゥザワールド
「・・・・ 汗汗」



料亭の女将しほ
「さあ、おまえたち!入りなさい!」



   ゾロゾロ



料亭の女将しほ
「・・・左から、『具志堅・ガッツ・用高』、でございます。ささ、お好きな『おみや』をお持ち帰りくださいませ ニヤリ」


トゥザグローリー
「ほう。破壊力あるな」


トゥザワールド
「ぐ、具志堅と用高は、ワンセットでは? 汗」



料亭の女将しほ
「ささ、お二人さま。お好きな『おみや』をお選びください ニヤリ」


トゥザワールド
「い、いやいや!汗 女将!僕らはそういうことは、ちょっと。・・・ねえ?兄さん」



トゥザグローリー
「じゃあガッツで」


トゥザワールド
「えぇ~~! 汗」



ガッツ
「オッケー牧場! 燃」


トゥザグローリー
「フン。ガッツよ。今夜は寝かさないぜ?」


ガッツ
「幻の右! 燃」



トゥザワールド
「に、兄さん 汗」


用高
「じゃあ~オレっちの相手は~アンタかいね~ 喜」



トゥザワールド
「い、いや、違いますっ 汗 ちょっと待って!!汗」


用高
「ちょっちゅ待ってね~ってか! 喜 ちょっちゅね~待たないね~ 喜」



トゥザワールド
「たた、たぁすけてぇぇーー!!汗汗」



  - つづく –

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